さまざまな業界でDX化が推進されている昨今、それだけにIT人材を求める企業は急激に増加しています。しかし、IT人材の採用が困難なのも事実です。その理由と対策を考えてみましょう。
採用活動の際には当然ながら企業が求める人材像や採用要件、つまりペルソナやJD(ジョブ・ディスクリプション)を決めなければなりませんが、IT人材の場合はそれが非常に難しくなります。ひと言でIT人材といってもさまざまなポジション・スキルがあり、どんな経験や能力が必要なのか理解しにくいからです。
ましてやDX人材ともなると、コミュニケーション力や企画力も求められます。結果として母集団は限られ、採用難易度はさらに上がります。
IT人材は典型的な売り手市場であり、すでに優秀な人材は好条件で企業に採用されています。したがって、転職市場に優秀な人材が出てくることが少ないのです。
また、優秀なIT人材にはフリーランスという道もあります。仮に転職市場に優秀な人材がいたとしても、よほどの好条件でなければ採用が難しいケースが多いようです。
優秀なIT人材にありがちなのが、いわゆるジョブ型、裁量労働制を希望するケースです。短時間で質の高い仕事をクリアし、残った時間を有効に使うという考え方です。
こうした考え方に対応できる企業は日本に少なく、どうしても一定の勤務時間にとらわれてしまいます。そこが採用のネックとなっているケースは少なくありません。
前述のペルソナやJDの問題ともリンクしますが、IT人材は応募者のスキルの見極めが難しいという問題があります。企業が求める人材像に対して、どのレベルのどんなスキルを求めるべきか判断できないということです。IT人材の採用経験がない企業であればなおさらです。
そこを理解できる人材がいなければ、採用はさらに難しくなっていくでしょう。
ひとつ目の方法として挙げられるのはダイレクトリクルーティングです。これは企業が候補者に直接アプローチする手法です。近年では特にダイレクトリクルーティングのサービスが増えています。そこには求職者のプロフィールが掲載されているので、企業がそこから候補者を絞り込み、求める人材像にマッチした人材にスカウトメール等を通じてアプローチします。
ふたつ目がリファラル採用で、これは自社の社員や関係者から知人を紹介してもらう方法です。当然ながら社員は自社の状況や求める人材像を熟知しているので、自社に合った人材に出会える可能性も高くなるでしょう。
アルムナイ採用とはいわゆる「出戻り採用」のことで、いったん退職して他社で新たに経験を積んだ人材を再び雇用する手法です。そういった社員は最初から自社の状況を理解しているので採用後教育の手間もかからず、双方にメリットがあるでしょう。
昔から存在する手法ですが、転職サイトや人材紹介会社を利用するのもひとつの手段です。近年ではIT求人に特化した転職サイトも登場しており、それらを利用して優秀なIT人材を見つけ出すのも有効な方法といえます。
IT人材を確保することの難しさはご理解いただけたと思います。とはいえ、自社にとって必要であれば採用をあきらめるわけにはいきません。
もし採用リソースやノウハウが不足しているのであれば、外注という方法もあります。ダイレクトリクルーティング+RPOというオーダーに応えてくれる企業は多いので、ぜひ一度検討することをおすすめします。